眼瞼下垂症の症状と受診科の選び方
院長コラム
COLUMN


眼瞼下垂症の症状と受診科の選び方
眼瞼下垂症では、以下のような症状がよく見られます。
• まぶたが重い
• まぶたが徐々に下がってきた
• 慢性的な肩こりや頭痛がなかなか治らない
また、他人から「眠たいの?」「疲れてるの?」などと言われたことがある方は、
その症状、もしかしたら眼瞼下垂症かもしれません。
このような症状が出てきた場合、どの診療科を受診すれば良いのか迷ってしまうこともあるでしょう。
眼瞼下垂の原因はさまざまであり、それに応じて受診すべき診療科も異なってきます。
ここでは、私なりに「どの科でどのような治療が行われるのか」をお伝えしたいと思います。
ー形成外科ー
形成外科では、手術後の傷痕がなるべく目立たないように、手術時に専門的な特殊技術を駆使して縫合をします。
解剖学的知識に基づき、まぶたの構造を再構築することで、機能面の修復・改善を図ると同時に、整容面での傷痕の配慮も欠かせません。
保険診療の場合、機能改善を目的とした治療が基本となりますが、できるだけ美しく仕上げることも重視されます。
ー眼科ー
眼科は、主に眼球に関わる疾患の治療を行う診療科です。
眼瞼下垂症において、形成外科と同様に機能改善を目的とした治療が行われますが、視野障害や眼球そのものに関係する疾患が疑われる場合は、まず眼科での診察をおすすめします。
また眼瞼下垂症の術後には、術後合併症としてドライアイなどが起こることがあります。
もちろん、術前にしっかりと評価して手術を行わなければなりませんが、
それでも合併症が生じた場合には、眼科での継続治療が必要となります。
眼瞼下垂症の治療において、機能障害の改善を目標にしていることは形成外科と同じなのですが、
整容的な微調整を必要とするケースでは、眼科から形成外科に紹介いただくことが多いです。
ー美容外科ー
美容外科では、主に見た目の変化を改善することを目的としています。
患者さんの希望に合わせて治療や手術が行われる点がメリットなのですが、
保険診療の適用がないことが多く、自費診療になるケースが大半です。
美容外科医の中には、専門医資格を持たなくても豊富な経験を持ち、瞼の治療を機能面・審美面の両面から対応してくれる優れた医師も存在します。
一方で、現代社会で問題視されているのが、医師免許取得後すぐに美容外科医となり、十分な基礎訓練を経ずに美容外科医となり、診療を行っているケースです。
合併症を引き起こし、また治療結果が乏しい、修正に応じてもらえない、リカバリーが不十分などとといったトラブルが多く報告されています。
その結果として、形成外科に修正手術に来られることが多々あります。
ですが、自費診療で行った治療に対しての修正は自費診療になるため、費用面での負担も大きくなります。
そういった面では医師選びの見極めが非常に重要であると言えるでしょう。
少し付け加えにはなりますが、
形成外科でもなく、眼科でもなく、美容外科でもない場合があります。
眼瞼下垂の原因には、重症筋無力症などの内科的疾患が関与している場合もあります。
こうしたケースでは、特殊な検査や高次医療機関での治療が必要となり、神経内科や脳神経内科での治療が必要となります。
初期段階では、まず形成外科または眼科を受診することが大切です。
そこでの診察結果をもとに、必要に応じて他科へ紹介されることとなります。
最後に、
最近では「眼形成外科」という科を標榜する病院やクリニックも見られるようになりました。
眼形成外科には、眼科医と形成外科医が常駐し、診療を行う施設もあれば、
いずれか一方の専門医が治療を行っている施設の様々です。
結果として、何科を受診したらいいの?のお答えとして、
まずは形成外科もしくは眼科を受診することをお勧めいたします。