二重埋没法の「表留め」と「裏留め」とは? その違いとメリットデメリットについて。
院長コラム
COLUMN


二重埋没法の「表留め」と「裏留め」とは? その違いとメリットデメリットについて。
二重埋没法の手術法として、
「表留め」と「裏留め」というワードをよく耳にすることがあるかと思いますが、
どのような違いがあるのかを今回詳しく説明していきたいと思います。
二重埋没法の表留めとは、
瞼の表側(皮膚直下)の二重ラインにメスで小さな穴をあけ、糸を結んで結び目(以下、糸玉)を皮膚の下に埋める方法です。
裏留めとは、瞼を裏返した粘膜の下に糸玉を埋める方法です。
埋没の際に使用する糸は、髪の毛よりも細い医療用の極細糸を使用しています。
埋没は糸が切れない限り半永久的に二重を獲得できるのでは?と思われがちですが、必ずしも永久的ではないのです。
時間の経過(老化)による瞼の弛みや筋肉の衰え、体重変動、花粉症やアレルギーなどで瞼を必要以上に擦るなどの刺激などは埋め込んだ糸が緩んだりとれてしまう原因に繋がるからです。
また体には元に戻ろうとする力が働くのも理由の1つです。
個人差はありますが瞼も同様です。
表留めの場合、糸玉が出来る(目立つ)、また瞼の脂肪量が少なく皮膚が薄い方やデリケートな方は糸玉が透けて見えてくる可能性があります。
糸玉が露出し皮膚を貫くようなことがあれば、糸を抜去しなければいけません。
糸玉の露出の原因として、糸玉そのもの、糸玉周囲の瘢痕形成や線維化で固くなり表皮から触れている場合があります。
後者の場合は、施術後1か月程度で出現してくることがあり、術後3ヵ月から半年で小さくなり、気にならなくなることが多いです。
それでは糸玉を深いところに埋めてしまえばいいのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし瞼の皮膚の下には、眼輪筋という瞼を閉じる筋肉があり、
そこの眼輪筋内に糸玉を残すことにより、眼瞼痙攣を誘発するリスクがあるのです。
故に皮膚の下と眼輪筋の上との間に糸玉を埋めることでリスクを多少回避できると考えます。
しかしながら、埋没法を受けられる方は、少なからずアイプチなどで皮膚が伸びて薄くなり、皮膚弛緩の状態になっている方も多く、アイプチをされていない方に比べ瞼の状態がデリケートなのです。
先程申し上げたデリケートとはこういうことです。
このような瞼のコンディションも糸玉が目立ちやすくなる原因のひとつだと考えます。
表留めにするメリットとし、糸玉の露出や糸が切れたなどのトラブルや合併症などがあったとき、
表からのアプローチでスムーズに副損傷が少なく修正できると考えられます。
裏留めは表の傷が最小限(糸を通すだけ)なので、術後の傷が目立たず、糸玉が表に出てくることや触れることはありません。
確かにこのようなメリットはありますが、糸玉を瞼の裏側粘膜下に埋めることによりミュラー筋を損傷する可能性があり、糸球による痛みが長引くことや、眼瞼痙攣を誘発する可能性、糸が露出した際に角膜損傷の可能性などのリスクがあります。
また修正手術や抜糸の際、埋まった糸を探すときに糸玉を探す難易度が増し、その際にミュラー筋を損傷するリスクが増えると考えます。
ーまとめー
上記の理由により当院の二重埋没法は、表留め(皮膚側で糸球を埋没させる)による施術を採用しております。